して騒いでいるのではないかしらんとさえ疑われ、そう思ったら、いよいよ興覚めて、
「あなたは前から、そんな色んな事を知っていながら、どうして、矢島君たちに周さんの潔白を証明してやらなかったのです。」と口を尖らして言ってやった。
「それは、僕が言ったって駄目だ。あいつらは、僕もまた周さんの一味だときめてしまっているのだからね。僕と君と藤野先生と周さんと、この四人が、いまのところ、同様の被告みたいなものなのだ。実にけしからんじゃないか。あの藤野先生の御人格をさえ疑うとは、全くひどいよ。これはどうしても、僕たちのほうでも団結して対策を練らなければならぬ。君は、とにかくあした藤野先生のところに訴えに行き給え。僕はまた後で、ほかに同志を糾合《きゅうごう》するから。」
果して、私の疑惑のとおりであった。私は、イヤになった。もう、矢島を殴るつもりも何も吹っ飛んで、早くこの馬鹿らしい政争から脱け出したかった。
「一つ約束していただきたいんですけれど、」と私は冷い頑固《がんこ》な気持になり、「僕はそれではあした藤野先生の研究室にまいりますから、先生から何かお指図《さしず》があるまで、この手紙の事は誰にも
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