だ。君は、どうも、周さんとばかり附合っているからいけない。君の名の田中卓を、クラスの者たちは陰で、田中卓《でんちゅうたく》と呼んでいるのだが、君は知るまい。どうだ君は田《でん》さんという名前なんだぜ。不愉快だろう?」
 私はそんな事は別に気にならなかった。しかし、津田氏がこんどの問題をなぜ私のところへ持ち込んで何のかのと支離滅裂な八つ当りの言辞を弄《ろう》し騒ぎ立てているのか、鈍感な私にも、少しずつわかって来た。津田氏はやはり矢島にクラス会幹事の名誉職を奪われたのがくやしいのだ。それでこの失意憂鬱の小政治家は、このたびの矢島の手紙を問題化させて、矢島に幹事辞職を迫り、かわって自分がふたたびもとのように堂々たる肩書のついた名刺を振りまわしてみたい、という可憐なたくらみを持って私のところにやって来たのに違いない。まず、周さんと一ばん仲のよい私にたきつけ、私が激昂《げっこう》して、またいつかのように藤野先生に御注進申し上げ、そうして、藤野先生は愕然《がくぜん》として矢島を呼び、彼を大いに叱咤《しった》して幹事の栄職を剥奪《はくだつ》する、というようなうまい段取りになりはせぬかと夢想して、こう
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