象になるらしく、家族の者たちにすすんで交際を求め、殊に十歳くらいの色の黒いぶざいくな娘と仲よしになって、支那のお伽噺《とぎばなし》など聞かせてやったり、またその娘から唱歌を教えてもらったりして、或る時、その娘が戦地の伯父に送る慰問文をしたため、周さんに直してくれと頼み、周さんはその無邪気な依頼にひどく気をよくした様子で、私に娘のその慰問文を見せ、
「うまいものですね。どこも直す事が出来ません。」と言いながら、尚《なお》も仔細《しさい》らしくその娘の文章を賞翫《しょうがん》するのである。何でもそれは、こんな工合の何の奇もない文章であった。
「昨年中はあまりに御無沙汰《ごぶさた》致し候《そうろう》ところ伯父さまにはすこやかに月も凍るしべりやの野においでになり露助を捕虜《ほりょ》になされその上名誉ある決死隊に御はいりなされたそうですがかねての御気象さもございましょうとかげながら皆々にて御うわさいたして居りました猶《なお》申上ぐるまでもなく今後共に御|身体《からだ》を御大切に我が、天皇陛下の御ため大日本帝国のために御つくし下さるよう祈って居ります左様なら」
 月も凍るしべりや、が、まず周さんの
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