お気に召したようであった。周さんは、風景にはあまり心をひかれないなどと言いながら、それでも、お月様だけは、まんざらきらいでも無いらしい。しかし、それよりも、周さんをして長大息を発せしめたものは、この短いたよりの中に貫かれている鮮《あざ》やかな忠義の赤心であった。
「はっきりしていますね。」と周さんは、何か自身が大きいお手柄でも樹《た》てたみたいに得意そうな面持で語るのである。「なんの躊躇《ちゅうちょ》も無く、すらすらと言っていますね。天皇陛下の御ためにつくせ、と涼しく言い切っていますね。まるで、もう 〔natu:rlich〕 なのですね。日本人の思想は全部、忠という観念に einen されているのですね。僕はいままで、日本人には哲学が無いのではないかと思っていたのですが、忠という Einheit の哲学で大昔から Fleischwerden されているのが日本人だとも言えるのじゃないかしら。その哲学が、あまり purifizieren されているので、かえって気がつかなかったのですね。」とれいの如く、興奮した時の癖で、さかんに独逸《ドイツ》語を連発しながら感心している。
「でも、忠孝の
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