軽くつぶって、手をお蒲団の中へそっとおいれになった。
私も泣き、直治もうつむいて嗚咽《おえつ》した。
そこへ、三宅さまの老先生が、長岡からいらして、取り敢《あ》えず注射した。お母さまも、叔父さまに逢えて、もう、心残りが無いとお思いになったか、
「先生、早く、楽にして下さいな」
とおっしゃった。
老先生と叔父さまは、顔を見合せて、黙って、そうしてお二人の眼に涙がきらと光った。
私は立って食堂へ行き、叔父さまのお好きなキツネうどんをこしらえて、先生と直治と叔母さまと四人分、支那間へ持って行き、それから叔父さまのお土産の丸ノ内ホテルのサンドウィッチを、お母さまにお見せして、お母さまの枕元に置くと、
「忙しいでしょう」
とお母さまは、小声でおっしゃった。
支那間で皆さんがしばらく雑談をして、叔父さま叔母さまは、どうしても今夜、東京へ帰らなければならぬ用事があるとかで、私に見舞いのお金包を手渡し、三宅さまも看護婦さんと一緒にお帰りになる事になり、附添いの看護婦さんに、いろいろ手当の仕方を言いつけ、とにかくまだ意識はしっかりしているし、心臓のほうもそんなにまいっていないから、注射だけ
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