のお顔を見つめたまま、お泣きになった。けれども、泣き顔になっただけで、涙は出なかった。お人形のような感じだった。
「直治は、どこ?」
と、しばらくしてお母さまは、私のほうを見ておっしゃった。
私は二階へ行って、洋間のソファに寝そべって新刊の雑誌を読んでいる直治に、
「お母さまが、お呼びですよ」
というと、
「わあ、また愁歎場《しゅうたんば》か。汝等《なんじら》は、よく我慢してあそこに頑張っておれるね。神経が太いんだね。薄情なんだね。我等は、何とも苦しくて、実《げ》に心《こころ》は熱《ねつ》すれども肉体《にくたい》よわく、とてもママの傍にいる気力は無い」
などと言いながら上衣《うわぎ》を着て、私と一緒に二階から降りて来た。
二人ならんでお母さまの枕もとに坐ると、お母さまは、急にお蒲団の下から手をお出しになって、そうして、黙って直治のほうを指差し、それから私を指差し、それから叔父さまのほうへお顔をお向けになって、両方の掌をひたとお合せになった。
叔父さまは、大きくうなずいて、
「ああ、わかりましたよ。わかりましたよ」
とおっしゃった。
お母さまは、ご安心なさったように、眼を
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