でございました? この村の先生は、胸の左のほうに浸潤があるとかおっしゃっていましたけど?」
 と私も急に元気が出て、三宅さまにおたずねしたら、老先生は、事もなげに、
「なに、大丈夫だ」
 と軽くおっしゃる。
「まあ、よかったわね、お母さま」
 と私は心から微笑して、お母さまに呼びかけ、
「大丈夫なんですって」
 その時、三宅さまは籐椅子から、つと立ち上って支那間のほうへいらっしゃった。何か私に用事がありげに見えたので、私はそっとその後を追った。
 老先生は支那間の壁掛の蔭《かげ》に行って立ちどまって、
「バリバリ音が聞えているぞ」
 とおっしゃった。
「浸潤では、ございませんの?」
「違う」
「気管支カタルでは?」
 私は、もはや涙ぐんでおたずねした。
「違う」
 結核《テーベ》! 私はそれだと思いたくなかった。肺炎や浸潤や気管支カタルだったら、必ず私の力でなおしてあげる。けれども、結核だったら、ああ、もうだめかも知れない。私は足もとが、崩れて行くような思いをした。
「音、とても悪いの? バリバリ聞えてるの?」
 心細さに、私はすすり泣きになった。
「右も左も全部だ」
「だって、お母さ
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