和田の叔父さまにお葉書を差し上げてから、一週間ばかりして、和田の叔父さまのお取計《とりはから》いで、以前侍医などしていらした三宅《みやけ》さまの老先生が看護婦さんを連れて東京から御診察にいらして下さった。
老先生は私どもの亡くなったお父上とも御交際のあった方なので、お母さまは、たいへんお喜びの御様子だった。それに、老先生は昔からお行儀が悪く、言葉|遣《づか》いもぞんざいで、それがまたお母さまのお気に召しているらしく、その日は御診察など、そっちのけで何かとお二人で打ち解けた世間話に興じていらっしゃった。私がお勝手で、プリンをこしらえて、それをお座敷に持って行ったら、もうその間に御診察もおすみの様子で、老先生は聴診器をだらしなく頸飾《くびかざ》りみたいに肩にひっかけたまま、お座敷の廊下の籐椅子《とういす》に腰をかけ、
「僕などもね、屋台にはいって、うどんの立食いでさ。うまいも、まずいもありゃしません」
と、のんきそうに世間話をつづけていらっしゃる。お母さまも、何気ない表情で天井《てんじょう》を見ながら、そのお話を聞いていらっしゃる。なんでも無かったんだ、と私は、ほっとした。
「いかが
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