駝《らくだ》が針の穴をくぐるとは、それや無理な。出来ませぬて。
○私を葬り去る事の易《やす》き哉《かな》。
○公侯伯子男。公、侯、伯、子、男。
○銭湯よろし。
○美濃十郎。美濃十郎。美濃十郎。初号活字の名刺でも作りますか。
○H、ばか。D、低能。ゴルフのカップは、よだれ受け。S、阿呆《あほう》。学校だけは出ました。U、半死。あの若さで守銭奴とは。O君はよい。男ぶりだけでも。
○昼は消えつつものをこそ思う。
○水戸黄門、諸国漫遊は、余が一生の念願也。
○私は尊敬におびえている。
○没落ばんざい。
○パスカルを忘れず。
○芸|娼妓《しょうぎ》の七割は、精神病者であるとか。「道理で話が合うと思った。」
○誰か見ている。
○みんないいひとだと私は思う。
○煙草をたべたら、死ぬかしら。
○机に向って端座し、十円紙幣をつくづく見つめた。不思議のものであった。
○肉親地獄。
○安い酒ほど、ききめがいい。
○鏡を覗《のぞ》いてみて、噴きだした。所詮、恋愛を語る顔でなし。
○もとをただせば、野山のすすきか。
○あたりまえの人になりたい努力。
○所詮は、言葉だ。やっぱり、言葉だ。すべては、言葉だ。
○KR
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