のをも集めてゐるが、これは集まらないで困るものがある。例へば朝鮮総督府から出るものなどは集めるのに骨が折れる。それでも慶州金冠塚の調査をはじめとして名出版を大分集めた。昨日奈良県の史蹟名勝天然記念物調査報告を第一冊からずつと揃ひで買つたがこれは嬉しかつた。書籍目録となると全く餓鬼のやうにして中を捜すのである。
 近頃は全集物が多く出るので何より有り難い。買へる限りは買ふことにしてゐる。有力なものは大抵買ひ集めた。下らない全集物は室に邪魔になるからたとへ一円本でも買はうとはしない。今では全く書物の置き場所が苦になつてゐるのである。自分は東京へ移転しようかと思ふ時もあるが、さう考へて何より困るのはこれらの書物の始末だ。私などの這入れる借家では、ちょつとこれだけの書物を置く場所がない。
 雑誌も沢山買つてゐるが、又随分沢山貰つてもゐる。だから有名な雑誌は大抵ある。毎月七十種位の雑誌は来ることと思ふ。勿論一々読む訳ではないがそれでもやはり欲しい。寄贈してくれる雑誌なら何でも欲しい。それも一冊でも捨てないやうに保存してある。新聞も一年分位は保存してある。これらはいざ評論を書くといふ時に資料となる
前へ 次へ
全7ページ中4ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
土田 杏村 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング