ごほうび》っていうのは、名誉《めいよ》にだけなって、別《べつ》に得《とく》にはならないような御褒美《ごほうび》です。」

   大きいものの過《あやま》ち

 道《みち》というものは川《かわ》によく似《に》ています。それは、川《かわ》というものがもともと道《みち》だからです。つまり、川というのは自然《しぜん》に出来《でき》た道で、人は七|里《り》ひと跳《と》びの靴《くつ》をはいてそこを歩き廻《まわ》るのです。七|里《り》ひと跳《と》びの靴《くつ》というのは船《ふね》のことです。だって、船《ふね》のことをいうのにこれよりいい名前《なまえ》がありますか? ですから、道《みち》というのは、人間《にんげん》が人間のためにこしらえた川のようなものです。
 道《みち》は、川の表面《ひょうめん》のように平《たいら》で、綺麗《きれい》で、車《くるま》の輪《わ》や靴《くつ》の底《そこ》をしっかりと、しかし気持《きもち》よく支《ささ》えてくれます。これはわたしたちのお祖父様方《じいさまがた》が作《つく》って下《くだ》さったものの中《なか》でもいちばん立派《りっぱ》なものです。このお祖父様方《じいさまがた》
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