はお亡《な》くなりになった後《あと》にお名前《なまえ》が残《のこ》っていません。わたしたちは、ただそのお祖父様方《じいさまがた》がいろいろいいことをして下《くだ》さったということを知《し》っているだけです。ほんとうに有難《ありがた》いものですよ、道《みち》っていうものは。そうでしょう、道《みち》があるお蔭《かげ》で、方々《ほうぼう》の土地《とち》に出来る品物《しなもの》がどんどんわたしたちのところへ運《はこ》ばれて来ますし、お友《とも》だち同士《どうし》も楽《らく》に往《い》ったり来《き》たりすることが出来ます。
それで今日《きょう》も、お友《とも》だちのところへ行こうと思って、そのお友だちはジャンというのですが、ロジェとマルセルとベルナールとジャックとエチエンヌとは国道《こくどう》へさしかかりました。国道《こくどう》は日に照《て》らされて、きいろい綺麗《きれい》なリボンのように牧場《まきば》や畑《はたけ》に沿《そ》って先へと伸《の》び、町や村を通りぬけ、人の話では、船《ふね》の見える海まで続《つづ》いているということです。
五人の仲間《なかま》はそんな遠《とお》くまでは行きません
前へ
次へ
全17ページ中11ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
フランス アナトール の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング