。けれども、お友《とも》だちのジャンの家《いえ》へ行くのには、たっぷり一キロは歩かなければならないのです。
 そこで五人は出《で》かけました。お母《かあ》さんにちゃんとお約束《やくそく》をしたので、五人だけで行《い》ってもいいというお許《ゆる》しが出たのです。ふざけないで歩くこと、決《けっ》して傍道《わきみち》をしないこと、馬や車をよけること、五人のうちで一|番《ばん》小さいエチエンヌのそばを決して離《はな》れないこと、そういうお約束《やくそく》をして来《き》たのです。
 そして五人は出《で》かけました。一|列《れつ》になって規則正《きそくただ》しく進んで行きます。これくらいきちんとして出かければ、申《もう》し分《ぶん》はありません。しかし、それほど立派《りっぱ》で一糸乱《いっしみだ》れないなかに、一つだけいけないところがあります。エチエンヌが小《ちい》さすぎるのです。
 エチエンヌは非常な勇気《ゆうき》を奮《ふる》い起こします。一|生懸命《しょうけんめい》、足を速《はや》めます。短《みじか》い脚《あし》を精《せい》いっぱいにひろげます。まだその上に、腕《うで》を振《ふ》ります。しかし
前へ 次へ
全17ページ中12ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
フランス アナトール の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング