、なんといっても、小《ちい》さすぎます。どうしても仲間《なかま》について行けません。遅《おく》れてしまいます。これはわかりきったことです。哲学者《てつがくしゃ》といわれる人たちは、同じ原因《げんいん》があればいつでも同《おな》じ結果《けっか》になるということを知っています。しかし、ジャックにしてもベルナールにしても、マルセルにしても、またロジェにしても、哲学者《てつがくしゃ》ではありません。四人は自分《じぶん》の脚《あし》に応《おう》じた歩き方をします。可哀《かわい》そうなエチエンヌも、やっぱり自分の脚《あし》相応《そうおう》に歩《ある》いているのです。調子《ちょうし》が揃《そろ》う筈《はず》がありません。エチエンヌは走《はし》ります。息《いき》を切《き》らします。声を出します。それでも遅《おく》れてしまいます。
 大きい人たちは、つまりお兄《にい》さんたちなんですから、待《ま》ってやればいいのに、エチエンヌの足にあわせて歩《ある》いてやればいいのにと思うでしょう。ところがそれは駄目《だめ》なのです。そんな心掛《こころがけ》は、この子《こ》たちにはそもそも註文《ちゅうもん》するだけ無理
前へ 次へ
全17ページ中13ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
フランス アナトール の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング