鳥《とり》や獣《けもの》のいうことがわかるのです。相手《あいて》の気持《きもち》をのみ込《こ》むのには、お互《たがい》に仲《なか》よくし合うことが何《なに》よりです。
 今日《きょう》も、ローズ・ブノワさんは読方《よみかた》で習《なら》ったところをちっとも間違《まちが》えずに諳誦《あんしょう》しました。それで、いいお点《てん》をいただきました。エムリーヌ・カペルさんも、算術《さんじゅつ》の時間《じかん》がよく出来《でき》たので、いいお点《てん》をいただきました。
 学校から帰《かえ》って来《く》ると、エムリーヌ・カペルさんは、いいお点《てん》をいただいたということをお母さんにお話《はな》ししました。それから、その後《あと》でこういいました――
「いいお点《てん》って、なんの役《やく》に立《た》つの、ねえ、お母《かあ》さん?」
「いいお点っていうものはね、なんの役《やく》にも立《た》たないんですよ。」と、エムリーヌのお母《かあ》さんはお答《こた》えになりました。「それだからかえって、いただいて自慢《じまん》になるのです。そのうちに、あなたもわかってきますよ。いちばん尊《とうと》い御褒美《
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