》してゐる黨《たう》の指令《しれい》のもとに、ある地方《ちはう》へ派遣《はけん》された後《のち》、彼等《かれら》は滅多《めつた》に逢《あ》ふ機會《きくわい》もなかつた。
その間《あひだ》彼女《かのぢよ》は、無産者《むさんしや》××同盟《どうめい》の支部《しぶ》で働《はたら》く傍《かたはら》、あるデパート專屬《せんぞく》の刺繍《ししう》工場《こうぢやう》に通《かよ》つて生活《せいくわつ》を支《さゝ》へた。そのうち、三・一五|事件《じけん》として有名《いうめい》な、日本《にほん》×××員《ゐん》の全國的《ぜんこくてき》の大檢擧《だいけんきよ》が行《おこな》はれた。それ以來《いらい》、片山《かたやま》の消息《せうそく》は知《し》れなくなつた。
彼女《かのぢよ》は、片山《かたやま》一人《ひとり》を得《う》る爲《ため》には、過去《くわこ》の一|切《さい》を棄《す》てた。肉親《にくしん》とも絶《た》たなければならなかつた。もつとも、母親《はゝおや》は實母《じつぼ》ではなかつた。
唯《たゞ》一人《ひとり》、頼《たの》みとする片山《かたやま》に訣《わか》れた彼女《かのぢよ》は、全《まつた》く淋《
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