天子《てんし》さまのお病《やまい》はいよいよ重《おも》くなって、どんな大事《だいじ》にならないとも限《かぎ》りません。これは一|日《にち》も早《はや》くこの怪《あや》しいものを退治《たいじ》して、天子《てんし》さまのお悩《なや》みを鎮《しず》めてあげなければならないというので、お公卿《くげ》さまたちがみんな寄《よ》って相談《そうだん》をしました。
なにしろそれにはなに一つし損《そん》じのないように、武士《ぶし》の中でも一|番《ばん》弓矢《ゆみや》の技《わざ》のたしかな、心《こころ》のおちついた人をえらばなければなりません。あれかこれかと考《かんが》えてみますと、さしあたり源頼政《みなもとのよりまさ》の外《ほか》に、この大役《たいやく》をしおおせるものがございません。そこで相談《そうだん》がきまって、頼政《よりまさ》が呼《よ》びだされることになりました。
どうして頼政《よりまさ》がそういう名誉《めいよ》を担《にな》うようになったかと申《もう》しますと、いったいこの頼政《よりまさ》は、あの大江山《おおえやま》の鬼《おに》を退治《たいじ》した頼光《らいこう》には五|代《だい》めの孫《まご
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