鵺
楠山正雄
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)ある時《とき》天子《てんし》さまが
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一|日《にち》も早《はや》く
[#]:入力者注 主に外字の注記や傍点の位置の指定
(例)[#ここから4字下げ]
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一
ある時《とき》天子《てんし》さまがたいそう重《おも》い不思議《ふしぎ》な病《やまい》におかかりになりました。なんでも夜中《よなか》すぎになると、天子《てんし》さまのおやすみになる紫宸殿《ししいでん》のお屋根《やね》の上になんとも知《し》れない気味《きみ》の悪《わる》い声《こえ》で鳴《な》くものがあります。その声《こえ》をお聞《き》きになると、天子《てんし》さまはおひきつけになって、もうそれからは一晩《ひとばん》じゅうひどいお熱《ねつ》が出て、おやすみになることができなくなりました。そういうことが三日《みっか》四日《よっか》とつづくうち、天子《てんし》さまのお体《からだ》は目に見《み》えて弱《よわ》って、御食事[#「御食事」は底本では「後食事」]《おしょくじ》もろくろくに召《め》し上《あ
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