え》して、一生懸命《いっしょうけんめい》がまんしていましたが、そのうち鬼《おに》どもがおもしろそうに手をたたいて、拍子《ひょうし》をとり出《だ》しますと、もうたまらなくなって、
「ええ、かまうものか。出て踊《おど》ってやれ。食《く》われて死《し》んだらそれまでだ。」
とすっかり度胸《どきょう》をきめて、腰《こし》にきこりの斧《おの》をさして、烏帽子《えぼし》をずるずるに鼻《はな》の頭《あたま》までかぶったまま、
「よう、こりゃこりゃ。」
といいながら、ひょっこりおかしらの鬼《おに》の鼻先《はなさき》へ飛《と》び出《だ》しました。
あんまり出《だ》し抜《ぬ》けだものですから、こんどはおじいさんよりは、鬼《おに》の方《ほう》がびっくりしてしまいました。
「何《なん》だ。何《なん》だ。」
「人間《にんげん》のじじいじゃないか。」
といいながら、みんなはそう立《だ》ちになって騒《さわ》ぎました。
おじいさんはもうすましたもので、一生懸命《いっしょうけんめい》、のびたり、ちぢんだり、縦《たて》になり、横《よこ》になり、左《ひだり》へ行き、右《みぎ》へ行き、くるりくるりと木《き》ねずみの
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