》いをして、
「あッは、あッは。おもしろい、おもしろい。今夜《こんや》のようなゆかいな宴会《えんかい》ははじめてだ。だがついでにだれか、もっとめずらしい踊《おど》りを踊《おど》って見《み》せる者《もの》はないか。」
といいました。
おじいさんはさっきから、木のうろの中で体《からだ》をこごめながら、それでもこわいもの見《み》たさに、首《くび》だけのばして外《そと》の様子《ようす》をのぞいていました。そのうちに、いったいがひょうきんなおじいさんのことですから、いつかこわいのも何《なに》も忘《わす》れてしまって、見世物《みせもの》でも見《み》ている気《き》で、おもしろがって鬼《おに》の踊《おど》りを見物《けんぶつ》していました。するうちに自分《じぶん》もだんだん浮《う》かれ出《だ》してきて、今《いま》のおかしらの鬼《おに》のいったことばが耳《みみ》に入《はい》ると、自分《じぶん》もひとつ飛《と》び出《だ》して、踊《おど》りを踊《おど》ってみたくなりました。
しかしうっかり飛《と》び出《だ》していって、一口《ひとくち》にあんぐりやられては大《たい》へんだと一|度《ど》は思《おも》い返《か
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