ません。
やがておかしらは、
「さあだれか歌《うた》を歌《うた》う者《もの》はないか。踊《おど》りを踊《おど》る者《もの》はないか。」
といって、そこらを見回《みまわ》しました。
やがておかしらのそばに座《すわ》っていた鬼《おに》が、出《だ》し抜《ぬ》けに大きな声《こえ》で歌《うた》を歌《うた》い出《だ》しました。するとさっきの若《わか》い鬼《おに》も、すその方《ほう》から前《まえ》へ飛《と》び出《だ》してきて、さんざん踊《おど》りを踊《おど》って引《ひ》っ込《こ》みました。それから代《か》わる代《が》わる下座《しもざ》の方《ほう》から、一人一人《ひとりひとり》違《ちが》った鬼《おに》が立《た》ってきて、同《おな》じように踊《おど》りを踊《おど》りました。中《なか》には上手《じょうず》に踊《おど》ってほめられる者《もの》もあれば、ぶきような踊《おど》り方《かた》をして、みんなに笑《わら》われる者《もの》もありました。踊《おど》りがすむたんびに、ひんながぱちぱち手をたたいて、
「よいよい。」
とはやしました。
おかしらの鬼《おに》はその時《とき》、さもゆかいそうに高笑《たかわら
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