くぞろぞろ出《で》てくるのです。青《あお》い着物《きもの》を着《き》た赤鬼《あかおに》もいました。赤《あか》い着物《きもの》を着《き》た黒鬼《くろおに》もいました。それが山猫《やまねこ》の目《め》のようにきらきら光《ひか》る明《あ》かりを先《さき》に立《た》てて、どやどや下《お》りてくるのです。
おじいさんは肝《きも》をつぶして、またうろの中へ首《くび》を引《ひ》っ込《こ》めてしまいました。そしてぶるぶるふるえながら、小《ちい》さくなって息《いき》を殺《ころ》していました。
鬼《おに》どもはやがて、おじいさんの居《い》るうろの前《まえ》まで来《き》ますと、がやがやいいながら、みんなそこに立《た》ち止《ど》まってしまいました。おじいさんは、「おやおや。」と思《おも》いながら、いよいよ小《ちい》さくなっていますと、そのうちのおかしららしいのが、真《ま》ん中《なか》に座《すわ》って、その右《みぎ》と左《ひだり》へ外《ほか》の鬼《おに》たちがずらりと二《ふた》かわに並びました。よく見《み》ると目《め》の一つしかないのや、口のまるでないのや、鼻《はな》の欠《か》けたのや、それはそれは何《なん
前へ
次へ
全15ページ中3ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
楠山 正雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング