ったからです。ただ、ヨハンネスは、この知らない道づれが、じぶんよりもはるかはるかかしこい人だということに、気がつきました。この人は世界じゅうたいていあるいていて、なんだって話せないことはないくらいでした。
お日さまが、もうすいぶんたかくのぼったので、ふたりは大きな木の下に腰をおろして、朝の食事にかかかりました。そこへ、ひとりのおばあさんがあるいて来ました。いやはや、ずいぶんなおばあさん[#「おばあさん」は底本では「おばさん」]、まるではうように腰をまげてあるいて、やっとしゅもくづえにすがっていました。それでも、森でひろいあつめたたきぎをひとたば、せなかにのせていました。前掛が胸でからげてあって、ヨハンネスがふとみると*しだの木のじくにやなぎの枝をはめた大きいむちが三本、そこからとびだしていました。で、ふたりのいるまえをよろよろするうち、片足すべらしてころぶとたん、きゃあとたかい声をたてました。きのどくに、このおばあさん、足をくじいたのですね。
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*しだの木は魔法の木。しだの木のむちに、やなぎの枝の柄をはめる。
[#ここで字下げ終わり]
ヨハンネスはそのとき、ふ
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