とき》、お百姓《ひゃくしょう》は学問《がくもん》を仕込《しこ》んでもらおうと思《おも》って、元興寺《がんこうじ》の和尚《おしょう》さんのお弟子《でし》にしました。
するとこの子は学問《がくもん》よりも大《たい》そう力《ちから》が強《つよ》くって、お弟子《でし》に入《はい》ったあくる日、自分《じぶん》の体《からだ》の三|倍《ばい》もあるような大きな石をかかえてほうり出《だ》しますと、三|尺《じゃく》も地《じ》びたがめり込《こ》んだので、和尚《おしょう》さんはびっくりして、この子はただものでないと思《おも》いました。
そのころこの元興寺《がんこうじ》の鐘撞堂《かねつきどう》に毎晩《まいばん》鬼《おに》が出て、鐘《かね》つきの小僧《こぞう》をつかまえて食《た》べるというので、夜《よる》になると、だれもこわがって鐘《かね》をつきに行くものがありません。それで長《なが》い間《あいだ》元興寺《がんこうじ》の鐘《かね》の音《おと》が絶《た》えていました。雷《かみなり》の子供《こども》はその話《はなし》を聞《き》いて、
「和尚《おしょう》さん、わたしを鐘《かね》つきにやって下《くだ》さい。」
と
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