わりきっと子供《こども》を頼《たの》みますよ。」
といって、お百姓《ひゃくしょう》はさっそくくすのきをくりぬいて、舟《ふね》をこしらえ、その中に水《みず》をいっぱいためて、ささの葉《は》を浮《う》かべました。雷《かみなり》はその舟《ふね》に乗《の》って、またすうっと空《そら》の上へ上《あ》がって行《い》ってしまいました。
二
それから三月《みつき》ほどたつと、おじいさんのおかみさんが急《きゅう》におなかが大きくなりました。そして間《ま》もなく男の赤《あか》んぼが生《う》まれました。
その赤《あか》んぼは生《う》まれた時《とき》から、ふしぎな子で、きれいな錦《にしき》の小蛇《こへび》が首《くび》のまわりに二巻《ふたま》き巻《ま》きついていました。そしてその頭《あたま》としっぽの先《さき》は長《なが》く伸《の》びて、赤《あか》んぼの背中《せなか》でつながっていました。
「さては雷《かみなり》が、約束《やくそく》のとおり子供《こども》をよこしてくれた。」
とお百姓《ひゃくしょう》はいって、夫婦《ふうふ》して大事《だいじ》に育《そだ》てました。
この子が十三になった時《
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