いし》は夢殿《ゆめどの》という小《ちい》さいお堂《どう》をおこしらえになりました。そして一月《ひとつき》に三|度《ど》ずつ、お湯《ゆ》に入《はい》って体《からだ》を浄《きよ》めて、そこへお籠《こも》りになり、仏《ほとけ》の道《みち》の修行《しゅぎょう》をなさいました。
ある時《とき》太子《たいし》はこの夢殿《ゆめどの》にお籠《こも》りになって、七日七夜《なのかななよ》もまるで外《そと》へお出にならないことがありました。いつもは一晩《ひとばん》ぐらいお籠《こも》りになっても、明日《あす》の朝《あさ》はきっとお出《で》ましになって、みんなにいろいろと尊《とうと》いお話《はなし》をなさるのに、今日《きょう》はどうしたものだろうと思《おも》って、お妃《きさき》はじめおそばの人たちが心配《しんぱい》しますと、高麗《こま》の国《くに》から来《き》た恵慈《えじ》という坊《ぼう》さんが、これは三昧《さんまい》の定《じょう》に入《い》るといって、一心《いっしん》に仏《ほとけ》を祈《いの》っておいでになるのだろうから、おじゃまをしないほうがいいといって止《と》めました。
するとちょうど八日《ようか》め
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