夢殿
楠山正雄

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)日本《にほん》の国《くに》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)三十一|代《だい》

[#]:入力者注 主に外字の注記や傍点の位置の指定
(例)[#ここから4字下げ]
−−

     一

 むかし日本《にほん》の国《くに》に、はじめて仏《ほとけ》さまのお教《おし》えが、外国《がいこく》から伝《つた》わって来《き》た時分《じぶん》のお話《はなし》でございます。
 第《だい》三十一|代《だい》の天子《てんし》さまを用明天皇《ようめいてんのう》と申《もう》し上《あ》げました。この天皇《てんのう》がまだ皇太子《こうたいし》でおいでになった時分《じぶん》、お妃《きさき》の穴太部《あなとべ》の真人《まひと》の皇女《おうじょ》という方《かた》が、ある晩《ばん》御覧《ごらん》になったお夢《ゆめ》に、体《からだ》じゅうからきらきら金色《こんじき》の光《ひかり》を放《はな》って、なんともいえない貴《とうと》い様子《ようす》をした坊《ぼう》さんが現《あらわ》れて、お妃《きさき》に向《む》かい、
「わたしは人間
次へ
全22ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
楠山 正雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング