に売《う》られて、店先《みせさき》にさらされて、さんざん窮屈《きゅうくつ》な目にあいました。その上|何《なに》も食《た》べさせてくれないので、おなかがすいて死《し》にそうになったところを、お寺《てら》の和尚《おしょう》さんに買《か》われて行《い》きました。お寺《てら》では、やっと手《て》おけに一ぱいの水をもらって、一口《ひとくち》にがぶ飲《の》みしてほっと息《いき》をついたところを、いきなりいろりにのせられて、お尻《しり》から火あぶりにされたのにはさすがにおどろきました。もうもうあんな所《ところ》はこりこりです。あなたは人のいい、しんせつな方《かた》らしいから、どうぞしばらくわたしをうちに置《お》いて養《やしな》って下《くだ》さいませんか。きっとお礼《れい》はしますから。」
「うん、うん、置《お》いてやるぐらいわけのないことだ。だがお礼《れい》をするってどんなことをするつもりだい。」
「へえ。見世物《みせもの》でいろいろおもしろい芸当《げいとう》をして見《み》せて、あなたにたんとお金《かね》もうけをさせて上《あ》げますよ。」
「ふん、芸当《げいとう》っていったいどんなことをするのだい。
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