文福茶がま
楠山正雄
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)上野国《こうずけのくに》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)ある日|和尚《おしょう》さんは
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一
むかし、上野国《こうずけのくに》館林《たてばやし》に、茂林寺《もりんじ》というお寺《てら》がありました。このお寺《てら》の和尚《おしょう》さんはたいそうお茶《ちゃ》の湯《ゆ》がすきで、いろいろとかわったお茶《ちゃ》道具《どうぐ》を集《あつ》めてまいにち、それをいじっては楽《たの》しみにしていました。
ある日|和尚《おしょう》さんは用事《ようじ》があって町《まち》へ行った帰《かえ》りに、一|軒《けん》の道具屋《どうぐや》で、気《き》に入《い》った形《かたち》の茶《ちゃ》がまを見《み》つけました。和尚《おしょう》さんはさっそくそれを買《か》って帰《かえ》って、自分《じぶん》のお部屋《へや》に飾《かざ》って、
「どうです、なかなかいい茶《ちゃ》がまでしょう。」
と、来《く》る人ごとに見《み》せて、じまんしていました。
ある晩《ばん》和尚《おしょう》さんはいつものとおり
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