つく》りになりました。そのたくさんの蜂《はち》の中に、蜜蜂《みつばち》だけが針《はり》を持《も》っていませんでした。蜜蜂《みつばち》は不足《ふそく》そうな顔《かお》をして、神《かみ》さまの所《ところ》へ行って、
「ほかの蜂《はち》はみんな針《はり》を持《も》っておりますが、わたくしだけは針《はり》がありません。どうか針《はり》をつけて下《くだ》さい。」
といいました。
「いいや、お前《まえ》は人間《にんげん》に飼《か》われるのだから、針《はり》はいらない。ぜひほしいというなら、針《はり》をやってもいいが、人間《にんげん》を刺《さ》すことはならないぞ。もし間違《まちが》えて刺《さ》したら、針《はり》が折《お》れて、命《いのち》がなくなるぞ。」
と、神《かみ》さまがおっしゃいました。
「けっして刺《さ》しませんから、どうぞ針《はり》を下《くだ》さい。」
と、蜜蜂《みつばち》がいいました。
「それなら針《はり》をやろう。」
と、神《かみ》さまがおっしゃって、蜜蜂《みつばち》に針《はり》を下《くだ》さいました。そこで約束《やくそく》のとおり、蜜蜂《みつばち》には針《はり》はあっても、人
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