はぐろは、つけかけたまま途中《とちゅう》でやめたので、すずめのくちばしは、いまだに下だけ黒《くろ》くって、上の半分《はんぶん》はいつまでも白いままでいるのです。
 それとはちがって、きつつきは、おかあさんの死《し》んだ知《し》らせが来《き》ても、鏡《かがみ》に向《む》かって紅《べに》をつけたり、おしろいをぬったり、おしゃれに夢中《むちゅう》になっていて、とうとう親《おや》の死《し》に目に合《あ》わなかったものですから、神《かみ》さまがおおこりになって、
「お前《まえ》は木の中の虫《むし》でも食《た》べているがいい。」
 とお申《もう》し渡《わた》しになりました。それできつつきはいつも木の枝《えだ》から枝《えだ》を渡《わた》り歩《ある》いて、ひもじそうに虫《むし》をさがしているのです。


   物《もの》のいわれ(下)[#「(下)」は縦中横]

     ふくろうと烏《からす》

 むかし、ふくろうという鳥《とり》は、染物屋《そめものや》でした。いろいろの鳥《とり》がふくろうの所《ところ》へ来《き》ては、赤《あか》だの、青《あお》だの、ねずみ色《いろ》だの、るり色《いろ》だの、黄色《き
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