にひどく頭《あたま》をぶっつけて、たくさん血《ち》を出《だ》して、死《し》んでしまいました。その血《ち》がそばの根《ね》を染《そ》めたので、いまだにそれは血《ち》のように真《ま》っ赤《か》な色《いろ》をしているのです。
猿《さる》と蟹《かに》
ちょうど田植《たう》え休《やす》みの時分《じぶん》で、村《むら》では方々《ほうぼう》で、にぎやかな餅《もち》つきの音《おと》がしていました。山のお猿《さる》と川の蟹《かに》が、途中《とちゅう》で出会《であ》って相談《そうだん》をしました。
「どうだ、あの餅《もち》を一臼《ひとうす》どろぼうして、二人《ふたり》で分《わ》けて食《た》べようじゃないか。」
さっそく相談《そうだん》がまとまって、猿《さる》と蟹《かに》は餅《もち》を盗《ぬす》み出《だ》すはかりごとを考《かんが》えました。
一|軒《けん》のうちへ行ってみると、うち中《じゅう》の人が残《のこ》らずお庭《にわ》へ出て、ぺんたらこ、ぺんたらこ、夢中《むちゅう》になって餅《もち》をついていました。お座敷《ざしき》には赤《あか》んぼが一人《ひとり》寝《ね》かされたまま、だれもそば
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