《たろう》と次郎《じろう》はその綱《つな》にぶら下《さ》がって、するする、するする、大空《おおぞら》まで登《のぼ》って逃《に》げました。
山姥《やまうば》はそれを見《み》ると、くやしがって、同《おな》じように空《そら》を見上《みあ》げて、
「お天道《てんとう》さま、腐《くさ》れ縄《なわ》。」
と大声《おおごえ》を上《あ》げてわめきました。
するとすぐ、ぼそぼそという音《おと》がして、高《たか》い大空《おおぞら》の上から、長《なが》い長《なが》い腐《くさ》れ縄《なわ》がぶら下《さ》がってきました。山姥《やまうば》はいきなりその縄《なわ》にぶら下《さ》がって、子供《こども》たちを追《お》っかけながら、どこまでもどこまでも登《のぼ》って行きました。するうち自分《じぶん》のからだの重《おも》みで、だんだん縄《なわ》が弱《よわ》ってきて、中途《ちゅうと》からぷつりと切《き》れました。
山姥《やまうば》は半分《はんぶん》縄《なわ》をつかんだまま、高《たか》い大空《おおぞら》からまっさかさまに、ちょうど大きなそば畑《ばたけ》の真《ま》ん中《なか》に落《お》ちました。そしてそこにあった大きな石
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