《がた》をつけはじめました。山姥《やまうば》が桃《もも》の木に切《き》り形《がた》をつけはじめたのを見《み》て、きょうだいは心配《しんぱい》になってきました。そのうちどんどん山姥《やまうば》は切《き》り形《がた》をつけてしまって、やがてがさがさ、やかましい音《おと》をさせながら登《のぼ》って来《き》ました。子供《こども》たちは困《こま》って、だんだん高《たか》い枝《えだ》へ、高《たか》い枝《えだ》へと、登《のぼ》って行きました。とうとういちばん上のてっぺんまで登《のぼ》って行って、もうこれより先《さき》へ行きようがない所《ところ》まで登《のぼ》りましたが、やはり山姥《やまうば》はどんどん上まで登《のぼ》って来《き》ます。困《こま》りきってしまって、二人《ふたり》は大空《おおぞら》を見上《みあ》げながら、ありったけの悲《かな》しい声《こえ》をふりしぼって、
「お天道《てんとう》さま、金《かね》ン綱《つな》。」
とさけびました。
すると、がらがらという音《おと》がして、高《たか》い大空《おおぞら》の上から、長《なが》い長《なが》い鉄《てつ》の綱《つな》がぶら下《さ》がってきました。太郎
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