いました。何《なに》もわからない学者《がくしゃ》のくせに、生意気《なまいき》ではありませんか。」
といって、怒《おこ》っていました。けれども、義家《よしいえ》は笑《わら》って、
「いや、それはあの人のいう方《ほう》がほんとうだ。」
といって、そのあくる日|改《あらた》めて匡房《まさふさ》のところへ出かけて行って、ていねいにたのんで、戦《いくさ》の学問《がくもん》を教《おし》えてもらうことにしました。
四
するうちまた奥州《おうしゅう》に戦争《せんそう》がはじまりました。それは義家《よしいえ》が鎮守府《ちんじゅふ》将軍《しょうぐん》になって奥州《おうしゅう》に下《くだ》って居《お》りますと、清原真衡《きよはらのさねひら》、家衡《いえひら》という荒《あら》えびすの兄弟《きょうだい》の内輪《うちわ》けんかからはじまって、しまいには、家衡《いえひら》がおじの武衡《たけひら》を語《かた》らって、義家《よしいえ》に向《む》かって来《き》たのでした。
そこで義家《よしいえ》は身方《みかた》の軍勢《ぐんぜい》を率《ひき》いて、こんども餓《う》えと寒《さむ》さになやみながら、三|年
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