て、自分《じぶん》が御褒美《ごほうび》を頂《いただ》く代《か》わりに、宗任《むねとう》はじめ敵《てき》のとりこを残《のこ》らず許《ゆる》してやりました。その中で宗任《むねとう》はそのまま都《みやこ》に止《とど》まって、義家《よしいえ》の家来《けらい》になりたいというので、そばに置《お》いて使《つか》うことにしました。
宗任《むねとう》はいったん義家《よしいえ》に命《いのち》を助《たす》けてもらったので、たいそうありがたいと思って、義家《よしいえ》の徳《とく》になつくようになったのですが、元々《もともと》人を恨《うら》む心《こころ》の深《ふか》い荒《あら》えびすのことですから、自分《じぶん》の一家《いっか》を滅《ほろ》ぼした義家《よしいえ》をやはり憎《にく》らしく思《おも》う心《こころ》がぬけません。それでいつか折《おり》があったら、殺《ころ》して敵《かたき》を討《う》ってやろうとねらっておりました。けれども義家《よしいえ》の方《ほう》はいっこう平気《へいき》で、昔《むかし》から使《つか》いなれた家来《けらい》同様《どうよう》宗任《むねとう》をかわいがって、どこへ行《い》くにも、「宗任
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