》にしようと思《おも》いました。でも水《みず》の中に居《い》る少女《おとめ》たちがどうするか、様子《ようす》を見届《みとど》けて行きたいと思《おも》って、羽衣《はごろも》をそっとかかえたまま、木の陰《かげ》にかくれて見《み》ていました。
 八|人《にん》の少女《おとめ》たちはややしばらく水《みず》の中で、のびのびとさも気持《きも》ちよさそうに、おさかなのように泳《およ》ぐ形《かたち》をしたり、小鳥《ことり》のように舞《ま》う形《かたち》をしたりして、余念《よねん》なく遊《あそ》び戯《たわむ》れていましたが、やがて一人《ひとり》上《あ》がり、二人《ふたり》上《あ》がり、松《まつ》の木の下まで来《く》ると、てんでんに羽衣《はごろも》を取《と》り下《お》ろしては、体《からだ》にまといました。そして一人《ひとり》一人《ひとり》、ぱあっと羽衣《はごろも》をひろげては、舞《ま》い上《あ》がっていきました。
 とうとう七|人《にん》まで、少女《おとめ》たちはみんな白鳥《はくちょう》になって空《そら》の上に舞《ま》い上《あ》がりましたが、いちばんおしまいに上《あ》がって来《き》た八|人《にん》めの少女
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