》に立《た》てこもって、為朝《ためとも》が攻《せ》めて来《き》たら、あべこべにたたき伏《ふ》せてやろうと待《ま》ちかまえていました。
為朝《ためとも》は聞《き》くと笑《わら》って、
「はッは。たかが九州《きゅうしゅう》の小大名《こだいみょう》のくせに、ばかなやつらだ。いったいおれを何《なん》だと思《おも》っているのだろう。子供《こども》だって、りっぱな源氏《げんじ》の本家《ほんけ》の八|男《なん》じゃないか。」
こういって、すぐ阿蘇忠国《あそのただくに》を案内者《あんないしゃ》にして、わずかな味方《みかた》の兵《へい》を連《つ》れたなり、九州《きゅうしゅう》の城《しろ》という城《しろ》を片《かた》っぱしからめぐり歩《ある》いて、十三の年《とし》の春《はる》から十五の年《とし》の秋《あき》まで、大戦《おおいくさ》だけでも二十|何度《なんど》、その外《ほか》小《ちい》さな戦《いくさ》は数《かず》のしれないほどやって、攻《せ》め落《お》とした城《しろ》の数《かず》だけでも何《なん》十|箇所《かしょ》というくらいでした。それで三|年《ねん》めの末《すえ》にはとうとう九州《きゅうしゅう》残《
前へ
次へ
全31ページ中6ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
楠山 正雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング