にいかめしいお城《しろ》をかまえて、少《すこ》しでも領分《りょうぶん》をひろめようというので、お隣同士《となりどうし》始終《しじゅう》戦争《せんそう》ばかりしあっていました。
為朝《ためとも》は九州《きゅうしゅう》に下《くだ》ると、さっそく肥後《ひご》の国《くに》に根城《ねじろ》を定《さだ》め、阿蘇忠国《あそのただくに》という大名《だいみょう》を家来《けらい》にして、自分勝手《じぶんがって》に九州《きゅうしゅう》の総追捕使《そうついほし》という役《やく》になって、九州《きゅうしゅう》の大名《だいみょう》を残《のこ》らず打《う》ち従《したが》えようとしました。九州《きゅうしゅう》の総追捕使《そうついほし》というのは、九州《きゅうしゅう》の総督《そうとく》という意味《いみ》なのです。すると外《ほか》の大名《だいみょう》たちは、これも半分《はんぶん》はこわいし、半分《はんぶん》はいまいましがって、
「為朝《ためとも》は総追捕使《そうついほし》だなんぞといって、いばっているが、いったいだれからゆるされたのだ。生意気《なまいき》な小僧《こぞう》じゃないか。」
といいいい、てんでんのお城《しろ
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