、
「お前《まえ》のような乱暴者《らんぼうもの》を都《みやこ》へ置《お》くと、今《いま》にどんなことをしでかすかわからない。今日《きょう》からどこへでも好《す》きな所《ところ》へ行ってしまえ。」
といって、うちから追《お》い出《だ》してしまいました。その時《とき》為朝《ためとも》はやっと十三になったばかりでした。
うちから追《お》い出《だ》されても、為朝《ためとも》はいっこう困《こま》った顔《かお》もしないで、
「いじのわるいにいさんたちや、小言《こごと》ばかりいうおとうさんなんか、そばにいない方《ほう》がいい。ああ、これでのうのうした。」
と心《こころ》の中で思《おも》って、家来《けらい》もつれずたった一人《ひとり》、どこというあてもなく運《うん》だめしに出かけました。
二
国々《くにぐに》を方々《ほうぼう》めぐりあるいて、為朝《ためとも》はとうとう九州《きゅうしゅう》に渡《わた》りました。その時分《じぶん》九州《きゅうしゅう》のうちには、たくさんの大名《だいみょう》があって、めいめい国《くに》を分《わ》け取《ど》りにしていました。そしてそのてんでんの国《くに》
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