《ばい》もある長《なが》い矢《や》をつがえては引《ひ》いたのです。ですから為朝《ためとも》の射《い》る矢《や》は、並《な》みの人の矢《や》がやっと一|町《ちょう》か二|町《ちょう》走《はし》るところを五|町《ちょう》も六|町《ちょう》の先《さき》まで飛《と》んで行《い》き、ただ一|矢《や》で敵《てき》の三|人《にん》や四|人《にん》手負《てお》わせないことはないくらいでした。
こんなふうですから、子供《こども》の時《とき》から強《つよ》くって、けんかをしても、ほかの兄弟《きょうだい》たちはみんな負《ま》かされてしまいました。兄弟《きょうだい》たちは為朝《ためとも》が半分《はんぶん》はこわいし、半分《はんぶん》はにくらしがって、何《なに》かにつけてはおとうさんの為義《ためよし》の所《ところ》へ行っては、八郎《はちろう》がいけない、いけないというものですから、為義《ためよし》もうるさがって、度々《たびたび》為朝《ためとも》をしかりました。いくらしかられても為朝《ためとも》は平気《へいき》で、あいかわらず、いたずらばかりするものですから、為義《ためよし》も困《こま》りきって、ある時《とき》
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