おおしま》を追《お》われた役人《やくにん》がくやしがって、ある時《とき》都《みやこ》に上《のぼ》り、為朝《ためとも》が伊豆《いず》の七|島《とう》を勝手《かって》に奪《うば》った上に、鬼《おに》ガ島《しま》から鬼《おに》をつれて来《き》て、らんぼうを働《はたら》かせている、捨《す》てて置《お》くと、今《いま》にまた謀反《むほん》の戦《いくさ》をおこすかもしれませんといって訴《うった》えました。
天子《てんし》さまはたいそうおおどろきになり、伊豆《いず》の国司《こくし》の狩野介茂光《かののすけしげみつ》というものにたくさんの兵《へい》をつけて、二十|余艘《よそう》の船《ふね》で大島《おおしま》をお攻《せ》めさせになりました。
為朝《ためとも》は岸《きし》の上からはるかに敵《てき》の船の帆《ほ》かげを見《み》ると、あざ笑《わら》いながら、
「久《ひさ》しぶりで腕《うで》だめしをするか。」
といって、例《れい》の強《つよ》い弓《ゆみ》に長《なが》い矢《や》をつがえて、まっ先《さき》に進《すす》んだ大きな船《ふね》の胴腹《どうばら》をめがけて矢《や》を射込《いこ》みました。すると船《ふね
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