行《い》く途中《とちゅう》だれが射《い》たともしれない矢《や》に射《い》られて死《し》にました。
おとうさんの為義《ためよし》はじめ兄弟《きょうだい》たちは残《のこ》らずつかまって、首《くび》をきられてしまいました。
その中で為朝《ためとも》は一人《ひとり》、いつまでもつかまらずに、近江《おうみ》の田舎《いなか》にかくれていましたが、戦《いくさ》の時《とき》にうけたひじの矢《や》きずがはれて、ひどく痛《いた》み出《だ》したものですから、ある時《とき》近所《きんじょ》の温泉《おんせん》に入《はい》って矢《や》きずのりょうじをしていました。するとかねてから為朝《ためとも》のゆくえをさがしていた平家《へいけ》の討《う》っ手《て》が向《む》かって、為朝《ためとも》の油断《ゆだん》をねらって、大勢《おおぜい》一|度《ど》におそいかかってつかまえてしまいました。
為朝《ためとも》はそれから京都《きょうと》へ引《ひ》かれて、首《くび》をきられるはずでしたが、天子《てんし》さまは為朝《ためとも》の武勇《ぶゆう》をお聞《き》きになって、
「そういう勇士《ゆうし》をむざむざと殺《ころ》すのはもったい
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