なが》はまさかと思《おも》った夜討《よう》ちがはじまったものですから、今更《いまさら》のようにあわてて、為朝《ためとも》のいうことを聞《き》かなかったことを後悔《こうかい》しました。そして為朝《ためとも》の御機嫌《ごきげん》をとるつもりで、急《きゅう》に新院《しんいん》に願《ねが》って為朝《ためとも》を蔵人《くらんど》という重《おも》い役《やく》にとり立《た》てようといいました。すると為朝《ためとも》はあざ笑《わら》って、
「敵《てき》が攻《せ》めて来《き》たというのに、よけいなことをする手間《てま》で、なぜ早《はや》く敵《てき》を防《ふせ》ぐ用意《ようい》をしないのです。蔵人《くらんど》でもなんでもかまいません。わたしはあくまで鎮西八郎《ちんぜいはちろう》です。」
とこうりっぱにいいきって、すぐ戦場《せんじょう》に向《む》かって行きました。
為朝《ためとも》が例《れい》の二十八|騎《き》をつれて西《にし》の門《もん》を守《まも》っておりますと、そこへ清盛《きよもり》と重盛《しげもり》を大将《たいしょう》にして平家《へいけ》の軍勢《ぐんぜい》がおしよせて来《き》ました。
為朝《た
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