為朝《ためとも》を味方《みかた》に加《くわ》えて、みんなすぐと出陣《しゅつじん》の用意《ようい》にとりかかりました。
四
為朝《ためとも》はやがて二十八|騎《き》の家来《けらい》をつれて新院《しんいん》の御所《ごしょ》に上《あ》がりました。新院《しんいん》は味方《みかた》の勢《せい》が少《すく》ないので心配《しんぱい》しておいでになるところでしたから、為朝《ためとも》が来《き》たとお聞《き》きになりますと、たいそうおよろこびになって、さっそくおそばに呼《よ》んで、
「いくさの駆《か》け引《ひ》きはどうしたものだろう。」
とおたずねになりました。すると為朝《ためとも》はおそれ気《げ》もなく、はっきりと力《ちから》のこもった口調《くちょう》で、
「わたくしは久《ひさ》しく九州《きゅうしゅう》に居《お》りまして、何《なん》十|度《ど》となくいくさをいたしましたが、こちらから寄《よ》せて敵《てき》を攻《せ》めますにも、敵《てき》を引《ひ》きうけて戦《たたか》いますにも、夜討《よう》ちにまさるものはございません。今夜《こんや》これからすぐ敵《てき》の本営《ほんえい》の高松殿《た
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