の中にかくして、背中《せなか》に背負《せお》って、片手《かたて》に金剛杖《こんごうづえ》をつき、片手《かたて》に珠数《じゅず》をもって、脚絆《きゃはん》の上に草鞋《わらじ》をはき、だれの目にも山の中を修行《しゅぎょう》して歩《ある》く山伏《やまぶし》としか見《み》えないような姿《すがた》にいでたちました。
二
六|人《にん》の武士《ぶし》はいくつとなくけわしい山を越《こ》えて大江山《おおえやま》のふもとに着《つ》きました。たまたまきこりに会《あ》えば道《みち》を聞《き》き聞《き》き、鬼《おに》の岩屋《いわや》のあるという千丈《せんじょう》ガ岳《たけ》を一《ひと》すじに目《め》ざして、谷《たに》をわたり、峰《みね》を伝《つた》わって、奥《おく》へ奥《おく》へとたどって行きました。
だんだん深《ふか》く入《はい》って行って、まっくらな林《はやし》の中の、岩《いわ》ばかりのでこぼこした道《みち》をよじて行きますと、やがて大きな岩室《いわむろ》の前《まえ》に出ました。その中に小さな小屋《こや》をつくって、三|人《にん》のおじいさんが住《す》んでいました。頼光《らいこう》はこん
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