》の四|天王《てんのう》の外《ほか》には、一ばん仲《なか》のいい友達《ともだち》の平井保昌《ひらいのほうしょう》だけをつれて行くことにしました。世間《せけん》ではこの保昌《ほうしょう》のことを四|天王《てんのう》に並《なら》べて、一人武者《ひとりむしゃ》といっていました。
 それからこれは人間《にんげん》の力《ちから》だけには及《およ》ばない、神様《かみさま》のお力《ちから》をもお借《か》りしなければならないというので、頼光《らいこう》と保昌《ほうしょう》は男山《おとこやま》の八幡宮《はちまんぐう》に、綱《つな》と公時《きんとき》は住吉《すみよし》の明神《みょうじん》に、貞光《さだみつ》と季武《すえたけ》は熊野《くまの》の権現《ごんげん》におまいりをして、めでたい武運《ぶうん》を祈《いの》りました。
 さていよいよ大江山《おおえやま》へ向《む》けて立《た》つことにきめると、頼光《らいこう》はじめ六|人《にん》の武士《ぶし》はいずれも山伏《やまぶし》の姿《すがた》になって、頭《あたま》に兜巾《ときん》をかぶり、篠掛《すずかけ》を着《き》ました。そして鎧《よろい》や兜《かぶと》は笈《おい》
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