大江山
楠山正雄

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)源頼光《みなもとのらいこう》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)四|人《にん》の
−−

     一

 むかし源頼光《みなもとのらいこう》という大将《たいしょう》がありました。その家来《けらい》に渡辺綱《わたなべのつな》、卜部季武《うらべのすえたけ》、碓井貞光《うすいのさだみつ》、坂田公時《さかたのきんとき》という四|人《にん》の強《つよ》い武士《ぶし》がいました。これが名高《なだか》い、「頼光《らいこう》の四|天王《てんのう》」でございます。
 そのころ丹波《たんば》の大江山《おおえやま》に、酒呑童子《しゅてんどうじ》と呼《よ》ばれた恐《おそ》ろしい鬼《おに》が住《す》んでいて、毎日《まいにち》のように都《みやこ》の町《まち》へ出て来《き》ては、方々《ほうぼう》の家《いえ》の子供《こども》をさらって行きました。そしてさんざん自分《じぶん》のそばにおいて使《つか》って、用《よう》がなくなると食《た》べてしまいました。
 するとある時《とき》、池田中納言《いけだのちゅうなごん》という人
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