の一人《ひとり》きりのお姫《ひめ》さまが急《きゅう》に見《み》えなくなりました。中納言《ちゅうなごん》も奥方《おくがた》もびっくりして、死《し》ぬほど悲《かな》しがって、上手《じょうず》な占《うらな》い者《しゃ》にたのんでみてもらいますと、やはり大江山《おおえやま》の鬼《おに》に取《と》られたということがわかりました。
中納言《ちゅうなごん》はさっそく天子《てんし》さまの御所《ごしょ》へ上《あ》がって、大事《だいじ》な娘《むすめ》が大江山《おおえやま》の鬼《おに》に取《と》られたことをくわしく申《もう》し上《あ》げて、どうぞ一|日《にち》もはやく鬼《おに》を退治《たいじ》して、世間《せけん》の親《おや》たちの難儀《なんぎ》をお救《すく》い下《くだ》さるようにとお願《ねが》い申《もう》し上《あ》げました。
天子《てんし》さまはたいそう気《き》の毒《どく》に思《おぼ》し召《め》して、
「だれか武士《ぶし》のうちに大江山《おおえやま》の鬼《おに》を退治《たいじ》するものはないか。」
と大臣《だいじん》におたずねになりました。すると大臣《だいじん》は、
「それは源氏《げんじ》の大将《たい
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