のききめが現《あらわ》れてきて、酒呑童子《しゅてんどうじ》はじめ鬼《おに》どもは、みんなごろごろ酔《よ》い倒《たお》れて、正体《しょうたい》がなくなってしまいました。
 頼光《らいこう》たちは鬼《おに》のすっかり倒《たお》れたところを見《み》すましますと、笈《おい》の中から鎧《よろい》や兜《かぶと》を出《だ》して、しっかり着《き》こみました。そして六|人《にん》一|度《ど》に刀《かたな》をぬいて、酒呑童子《しゅてんどうじ》の寝《ね》ている座敷《ざしき》にとびこみますと、酒呑童子《しゅてんどうじ》はまるで手足を四方《しほう》から鉄《てつ》の鎖《くさり》でかたくつながれているように、いくじなく寝込《ねこ》んでいました。頼光《らいこう》はすぐ刀《かたな》をふり上《あ》げて酒呑童子《しゅてんどうじ》の大きな首《くび》をごろりと打《う》ち落《お》としてしまいました。酒呑童子《しゅてんどうじ》の手足はそのまま動《うご》けなくなりましたが、切《き》られた首《くび》だけは目をさまして、すっと空《そら》に飛《と》び上《あ》がりました。そしていきなり頼光《らいこう》をめがけてかみついて来《こ》ようとしまし
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